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幸せの青い鳥をはなつ、一人のライダー [フィクション]

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いつも誰かの背中を追い続けている私。
とにかくライダーの後ろ姿に惹かれてしまう。

私も旅立つことにします。南下がいいかなぁ~。
少し妄想の旅に出かけて見ましょう。



※ この物語はフクションです。


「 幸せの青い鳥をはなつ、一人のライダー 」


この見知らぬ最南端の土地をふらっと訪れた私の目の前に
一台の大型バイクが通り抜けた。
テールの角度が、やや鋭角な絶妙なマシンバランスから
乗り手のセンスがうかがえる。

その後ろ姿をしばらく、おでこに手をあてて眺めていると
そのバイクの主は道の先で軽快に綺麗にUターンすると
私のもとにあっという間に現れた。

「こんなところで知り合いのはずもないけど・・・」と心の中で呟くと

突然、目の前に現れた青いバイクのライダーはシールドを上げると
「バイクに興味があるの?」とひとこと。

女は「少し・・・」と答えると

男は「後ろに乗ってみる?」
とタンデムシートを指差して優しく微笑んだ。
彼の悪気のない誘いに自然に導かれるように
まるで最初から用意されている様な、その席に女もまたがる。

「少しスピードを出すからしっかりつかまって。」
という男の言葉に、女は慌てて広い背中にしがみつくと
アクセルを徐々に開けるライダー。
彼の腰に回す手に少しだけ力を添えて、
彼女自身の身も心も、しばしの時預ける。

一番好きな至福の時に酔いしれながら、
どこまでも続く夕暮れの道に消えていく二人。


羽を大きく広げ、大空を自由にはばたく鳥のように、走り続ける。

その人の目は、いつも道の先の遠くを見つめ
時に鋭く、時に愁い(うれい)を帯びて、出会うモノを魅了する。


女はこの青いマシンを扱う彼のすべてを知りたくなって
「あなたをもっと知りたい・・・」とつぶやいた
風に流される言葉が彼に聞こえたかどうか?

その先に始まる二人の物語に期待を寄せてしまう
その女もまたライダーである。

青い鳥を探しに・・・。


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