謎の石 [日常]
一人っ子で甘やかされて育った私は、
小さな時分から箱庭や、ジオラマが大好きな子供でした。
その大人の世界をそのまま、ミニチュアにして閉じ込めた
小さな小さなリアルワールドに、魅了されたものです。
こんな風景や、あんな建物があったら・・と、お菓子の家を
思い描いて作るように、空想を膨らませては、
あ~でもない、こ~でもない・・と一人遊びに夢中になりました。
妄想癖が養われたのも、この頃かもしれません。
先日、とても大切にしているという、彼のコレクションを頂いた。
よく見ると石の細かい粒子が、金色にキラキラと輝いている。
「この石はね・・・」と得意気に語りはじめた彼の言葉を
実のところ全く聞いていない、私。
フンフンとうなづきながら、特別なプレゼントを手にした瞬間、
自然界に存在する不思議な石への興味と、
この石に、私の妄想をプラスしたら、どぉ~なるのか・・・
と、アーティスティックな方向へとすでに気持ちが
移行しているので、上の空状態。
と、いう訳で、大好きなヒーローをからめて、
ありえない世界があるかのごとく、
ハイ、みんなで記念写真をパチリ!
でもしかし、この石はの名前は何でしたっけ?
えぇ~と、えぇ~と、月の石だったかな?
いやいや、海外旅行に行った時のお土産だったかも?
まぁ、どちらにしても世界にたった一つの石が、私の宝物となった。
「金がね・・・」と続く彼の優しい声が、子守唄のように聞こえて、
眠気と現実の狭間で、この謎の石の虜になったのは、まちがいない。