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タトゥーのある男 [フィクション]

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その人は、四半世紀近くも違う年齢にもかかわらず、
なぜか涼しい眼をしていつも遠くを見つめている。

茶髪でもなく、見た目、普通のどこにでもいる好青年である。

ただ、左の太ももには、サソリのタトゥー(刺青)がほどこされている。


最初に見たときには衝撃を受けたが、
話を聴いても、なぜそこにその紋章が必要であったのか

私には理解が不能である。


「負けないためのお守り・・・」だと彼は言う。


何に負けたくないの?
見えない敵と戦う葛藤が、どれほどの物なのか
私には解らない。


しかしながら、痛々しさの中にも何か「凛」とした
清さや奥深ささえ感じる。


「それでは温泉には入れないでしょう?」と言うと

すかさず「気にしていませんから~」とひょうひょうと
答えるその言葉には
まだ、初々しさが残っている。


不思議な男であり、その人もまた、GSX1300「隼」に
またがる若いライダーである。


※この内容はフィクションです。


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